2018-02-01T13:50:38Z 魚の側線とルアー|科学的に見る水押しや波動の効果
最新ルアー学

魚の側線とルアー|科学的に見る水押しや波動の効果

最新の科学知識を基に、ルアーフィッシングの様々な疑問や謎に迫る『最新ルアー学』第64回。今回は、魚の側線とルアーが出す水の振動(波動)について、掘り下げてみようと思う。

初期のブログでは何度か触れてきた話題ではあるものの、このブログに引っ越してからは掲載していなかったため、改めてお話させて頂こうと思った次第だ。

あなたは魚の側線について誤解していませんか?

 

魚の側線とは、魚体の側面から頭部にわたって存在する器官で、耳では聞き取れない低周波や水の振動を感じ取る事ができると言われている。

魚の側線が感知可能な範囲に関しては諸説あるものの、一般的には、その個体が持つ体長を上回らないとされており、最大でも体長のおよそ1.5~2倍までの範囲しか感知出来ない事が魚類学の研究によって判明している。最大のケースで考えても、体長50cmの魚が側線で感知できるのは、周囲1m程度までという事だ。

もちろん、側線による感知可能範囲は魚種によって異なる可能性もあるので、一概にこうだと言い切る事は出来ない。しかし、筆者も20年間、様々な魚種を相手にしてきたが、体長の何倍も離れた場所からルアーが起こす振動を感知して寄ってきた魚など見た事がない。

したがって、少なくともメジャーなゲームフィッシュたちの側線による感知可能範囲は、前述した研究結果に当てはまると考えてよいだろう。

魚の側線は、主に狩り・障害物の感知・群れ行動時の仲間との距離の感知・危険回避などに使われていると言われている。

一部の方は、ルアーが生む"波動"や"水押し"には、広範囲の魚を集めるような強い集魚力があると思われている方もいるかもしれない。しかし、上述した通り、側線の有効範囲は最大でも魚の体長の2倍ほど。どんなに水を強く動かすルアーでも、数センチから十数センチしかないルアーが押す水の量など知れているはずだ。

試しにお風呂の湯船の中で人差し指だけを思いっきり振って、どれだけ水が動かせるか試してみるといいかもしれない。当然、ルアーが生む水の動きなど人間の力に全く及ばないわけだが、人間の力でも人差し指程度の太さや大きさでは、驚くほど狭い範囲の水しか動かせない。例え人差し指と中指の二本を使っても、広範囲には及ばないという結果に変わりはない。

つまり、水を強く動かすルアーがあっても、魚の近くを通さないと効果を発揮しない可能性が極めて高いということだ。ちなみに、遠くにあるものに対する魚の感知能力に関しては、側線よりも聴力の方がよく働いていると言われている事をつけ足しておこう。

ではルアーが作り出す水の動きに一切効果がないかと言うと、筆者はそうは思わない。彼らが側線によって水の動きを感知し、種によっては捕食に活用している以上、側線に訴えかけるアピールが有効である可能性は非常に高い。もちろん、それは側線の感知可能範囲内での話だ。

どういった水の動きが有効なのかは更なる研究が必要だが、側線の働きにヒントが見受けられる。というのも、側線は餌の感知だけではなく、危険から身を守るための回避にも使われている。つまり、あまりに強く突発的な刺激は、魚にとって回避の対象になりうるという事だ。

ラトル系ルアーが多く出回った時も、とにかくジャラジャラと強く高音を響かせるようなルアーがたくさん作られたが、後にバスなどの一部の魚は、一定以上の高周波に対して反応が悪い事が分かった。

ルアーが作り出す水の動きに関しても、強ければ良いというわけではない可能性が高い。あくまで捕食対象となる生き物が作り出せる範囲の、生物的な水の動きで十分であり、そこが重要であると筆者は考えている。

今回は改めて魚の側線とルアーの関係について話してきたが、いかがだっただろうか。 魚が側線で感じ取っている感覚は、人間が感じることのない感覚。魚が持つ第六感とも言われるその感覚は、聴覚的というよりも触覚的な感覚に近い可能性が高いと言われている。

魚の側線に関しても、ルアーが生み出す水の動きに関しても、まだまだ研究の余地はあるので、ぜひ続報に期待してほしい。