2018-02-01T13:50:58Z 魚の聴覚とルアー|科学的に見るラトルや着水音の効果
最新ルアー学

魚の聴覚とルアー|科学的に見るラトルや着水音の効果

最新の科学知識を基に、ルアーフィッシングの様々な疑問や謎に迫る『最新ルアー学』第65回。今回は、魚の聴力とルアーが出す音による集魚力について改めて触れてみたいと思う。

少し難しい言葉も使うことになるのだが、魚類学に興味がない人でもルアーフィッシングに大きく関わる事がたくさん出てくるので、ちょっと気合いを入れて読んで頂けると幸いだ。

 

難しい言葉を使って理解できない人が出てきてしまうと記事として意味がないので、なるべく簡単に説明しよう。

魚にも耳がある。とは言っても外に見える形ではなく、頭の内部に内蔵されており、音によって耳石というものが振動し、その振動が感覚毛というものに伝わり、その刺激が脳に伝わる事で音として認識するようになっている。

体の側面や頭部にある、水の振動や耳では聞き取れない低周波を感知するための器官。

浮力調整のための器官と思われがちだが、最近では聴覚補助としての機能がある事も知られている。ソナーとしての役割があるとも言われ、鰾がある魚とない魚では聴覚に著しい差がある事がわかっている。

鰾で感じた振動を骨伝導で内耳に伝える事ができる特殊な骨。これを持つ魚種は他の魚と比べて卓越した聴力を持つ。

聴力はその魚種によって異なり、種によってある程度分類する事ができる。

鰾と内耳がウェーバー小骨という骨で連結されており、鰾で感じた振動を骨伝導で内耳に伝える事ができる。魚類の中でも特に聴力が優れている。コイ目やナマズ目などがこれにあたる。

  • 反応する最低音圧値:約65dB(目安)
  • 敏感な周波数:400 〜1,000 Hz(目安)

鰾はあるがウェーバー器官を持たない種。骨鰾類に比べると聴力は劣り、魚類の中では良くも悪くもないという程度。バスやシーバスなどはこの仲間。

  • 反応する最低音圧値:78dB前後(目安)
  • 敏感な周波数:60 〜380 Hz(目安)

鰾を持たない魚。魚類の中でも最も聴力が弱いとされる。カレイやヒラメなどがこの仲間。

  • 反応する最低音圧値:90dB前後(目安)
  • 敏感な周波数:110 Hz前後(目安)

上記の周波数がどんな音か実際に聞きたい方はこちらへどうぞ→http://goo.gl/29FQDf

上記の○○dBという数値がどの程度の音圧なのか知りたい方はこちら→http://goo.gl/cTU0JF

音や動物の聴覚というものに関して少しでも知識がある方なら、上記の数値を見ただけで、魚類の聴覚はそれほど優れているわけではない事がお分かり頂けるだろう。(もちろん例外となる個体や種はいるだろうが。)

魚の聴覚が優れているわけではないのなら、集魚効果があると言われてきたラトル系ルアーに効果はないのか。その答えを科学的に答えるには、もっと多くのデータが必要ではある。

しかし、あえて言及するならば、ルアーが出す水の振動(波動)と同じで、広範囲の魚を惹きつけるほどの力は無くても、特定の魚種に対して誘引性を持つ特定の周波数を出すラトルであれば、近い距離にいる魚を効率よくルアーに気づかせる事が出来る可能性は十分にある。

理由はいろいろとあるのだが、最も分かりやすいものを挙げるとすれば、魚の聴覚が機能しているからである。彼らが少なからず聴覚を用いて生きているのなら、ラトルなどによる聴覚へのアプローチが全くの無効果と考える方が難しいのではないだろうか。視覚の利かないマッディーウォーターの環境下では、魚たちが一層聴覚に頼っている可能性もある。

魚が聞き取れない周波数の音を出す一部のラトル製品や、ラトルの効果そのものが部分的に否定される事はあっても、全否定する事は難しいと思われる。

効果のほどがハッキリしないラトルに対し、着水音にはある程度の距離がある魚でも引きつける傾向がある。なぜラトルより着水音の方が魚を寄せる傾向があるのか。その理由の一つは、音による連想が考えられる。

一部の魚は、特定の音を鳴らしてから餌を与える事を続けると、その音を鳴らしただけで餌を求めて集まって来る事が研究によって分かっている。この学習能力や反応を応用した技術は既に養殖現場などで採用されているが、これと同様の事が野生の魚にも起こっていると考えられるわけだ。

つまり、魚たちは日常的な捕食活動の中で、着水音が獲物の落水などを予感させるものとして学習しており、結果的に一定範囲内の着水音に対して獲物を存在を感じ、反応していると考えられる。

一方、ラトルの場合は人工的な音であるため、野生の魚が日常的な捕食活動などで聞くことはない。結果として、効力が期待できる音の種類や場所、対象や状況などが限られていると考えられるわけだ。

もちろん、着水音にしてもラトル音にしても、効果を発揮するのは魚が学習するまでだろう。何度もルアーで釣られたりする事によって、これらの音がルアーの発する音であると学習し始めれば、全くの逆効果になる可能性は高い。

釣り人が多いハイプレッシャーな釣り場では、ルアーの着水音だけで魚が逃げてしまう事もあるが、繰り返される釣り人の行動によって魚が学習してしまった結果であると考えれば納得できる。

今回は魚の聴覚とルアーの音が持つ集魚力について触れてみたが、どうだっただろう。本稿には書ききれなかったが、音による集魚効果は他にも様々なものが報告されている。音によるアプローチもまだまだ可能性は残されているという事だ。

研究の余地がある事は良い事であるとして、今は更なる研究・開発に期待しておこう。