2018-02-01T13:56:42Z ミノー(ジャークベイト)とは
最新ルアー学

ミノー(ジャークベイト)とは

ミノー(minnow)とは、釣りに使用するルアーに属するプラグ類の一種である。ミノープラグとも言う。欧米ではミノーベイト(minnow bait)やジャークベイト(Jerkbait)等と呼ばれる事も多い。

本稿では、そんなミノーの起源、歴史、種類、テクニック、使用方法など、様々な基礎知識について記述する。

 

ミノーの名の由来は、一説ではコイ科の小型淡水魚の一種「ミノー(ミノウ、ヒメハヤ)」を模したルアーであるからと言われてる。

しかし英語圏におけるミノーという単語は、肉食魚の被食者となる小魚や、釣り餌としての小魚全般を指す言葉でもあり、これらの意味が由来しているという説の方が有力である。

(余談ではあるが、プラグの発明者であるジェームズ・ヘドンや一部の開発者らは、ミノーが世に出回る以前から、自身の作り出したルアー類をカタログ上などでMinnowと呼称していた。そうした広告などによって浸透した認識が、ミノーと呼ばれるルアー群の名称を決定づける影響を与えていた可能性も考えられる。)

ミノーとジャークベイトは本来同一のルアーであると説明される事が多い。これは伝来元である欧米においても同様の認識があり、ミノーとジャークベイトは同一のルアーの事であると認識しても間違いではない。(ミノーがジャークベイトと呼称される所以は、ミノーというルアーを使用する上でジャーク(ジャーキング)というアクションが多用される事に由来している。)

しかし、ルアーの進化と多様化に伴ってジャーキングに不向きなクランキングタイプのミノーや、ミノーとは異なるジャーキングに特化したリップレスタイプのルアー等も多く見られるようになり、必ずしもジャークベイト=ミノーとは言えなくなりつつある。

従って、より厳密かつ正確に捉えるならば、「ミノーとは、ジャークベイトタイプのミノー類も含む、ミノータイプのルアーの総称」であり、「ジャークベイトとは、一部のミノーやリップレスタイプのルアーといった、ジャーキングに対応(または特化)したルアーの総称」であると認識した方がより正確であると言える。

歴史上最も初めに作られたミノーは、1936年にラウリ・ラパラが生み出したオリジナルフローティングであると一般的に認知されている傾向がある。

しかし実際には、ラパラがオリジナルフローティングを作り出す以前から、リップを持ったミノー形状のルアーは存在していた。1906~1916年頃に作られたクリークチャブベイト(Creek Chub Bait Co 略してCCBCOとも)社のウィグラーや、1918年に特許が取られたコールドウォーターベイト(Coldwater bait)社のヘルダイバー、1920年代から売られていたフル―ガー社(Pflueger)のパルオーマインなどが、それに当たる。

プラグ系ルアーの起源が1890年代後半である事を考慮すると、最古のミノー型ルアーはクリークチャブベイト社のウィグラ―であると思われる。(ウィグラ―はミノーだけでなく、クランクベイト等のようなリップを持ったプラグの原点とも言われている。)

1890年代後半にジェームズ・ヘドンの手によってプラグが発明された後、1906~1916年頃にリップを持つウィグルアクション系プラグの基礎と言われ、同時にミノーやクランクベイトの基礎とも言われるウィグラ―が、ヘンリー・ディルス(Henry Dills クリークチャブベイト社創設者の一人)によって発明される。(クリークチャブベイト社の開業自体は1916年から)

その後、1930年代まで様々なメーカーからミノーに類似した同様のウィグルアクション系プラグが発売される。

1936年には、ラウリ・ラパラの手によって現代ミノーの基礎となるルアーが削り出される。

現在におけるミノーの二大タイプの一つであり、クランキング系ミノーの先駆けとも言えるローリングアクション系ミノーの起源については不明である。

(ルアーのローリングアクションは形状やウェイトバランス等によって容易かつ偶発的に生まれやすく、ローリングアクションを謳った製品の誕生より以前から、ローリングアクションの性質を有したルアーが存在していた可能性は極めて高い。しかし現存していないルアー製品もある中で、全てのルアーをテストする事は不可能であるため、起源を知る事もまた困難を極める。)

大半のミノーは、木製または硬質プラスティック製である。ごく少数ではあるが、ボディーの前後で硬質プラスティックと軟質プラスティックに分かれたハイブリッド型も存在している。

基本的にミノーは細身の小魚を模した形状となっている。この特徴は同ルアー類がミノーと呼ばれる所以でもある。

他の潜行型ルアーと同じく、往年モデルのミノーの場合は、リップと呼ばれる水流を受ける板状の部位がルアーの前方先端付近に設けられている事が特徴であった。

この特徴は現行製品や最新モデルにも見られる特徴ではあるが、1990年代以降にはリップを持たないリップレスタイプのミノーも多く誕生したため、リップの有無が必ずしもミノーの特徴というわけではなくなった。

市販製品の基本仕様として、標準サイズのミノーでは、腹部とテール部分に一本ずつ3本針(トレブルフック)がついている。サイズの大きなミノーや小さなミノーでは、装着されているフックが3本のものや、1本のもの等も存在する。

ミノーの基本的動作は、小魚の遊泳する姿を模した動きとなっている。リールを巻く事でボディーやリップ部分に水の流体的作用を受けて、自動的にボディーを小魚のように震わせる。その振動の仕方によって得意なアクションや使用法が異なるため、ミノーを購入・使用する際はその点を特に気をつける必要がある。

また、その浮力の強弱によっても、浮き沈み等の動作が異なる。

ミノーの種類は、動作(アクション)別や、浮力別、潜行深度別、形状別などによって分けられている。以下にその詳細を記載する。

ミノーの種類:動作別

ウォブリングタイプ

ボディー全体を水平方向に左右へと震わせるタイプのミノー。一般的にこのタイプのミノーは、左右へ突くような動きをするダートアクションなどのトリッキーな動きを得意とする傾向がある。ジャーキングやトゥウィッチングといったロッドアクションで、複雑かつ不規則な動きを与える事に長けた、本来のミノーらしい動作をするタイプである。

ローリングタイプ

ボディーの腹部付近を中心として、ボディー全体を垂直方向に左右へと半回転させるように震わせるタイプのミノー。振動の方向性などの関係で直進性に優れた動きを持つため、ウォブリングタイプ等に比べ複雑な動きを得意としないものが多い。どちらかと言うとロッドアクションで複雑な動きを与えるより、リールを巻いて一定動作をさせるクランキング的な操作に向いている。

得意なアクションの種類は少ないものの、ボディーを垂直方向へと半回転させる動作ゆえに、反射光を利用した明滅による誘引効果や、色彩変化的な誘引効果といった、特異な視覚的誘引要素を強く持つ。

ウォブンロールタイプ

ウォブリングとローリングの中間的動作をするタイプのミノー。どちらの要素も持つため、ただ巻きによるクランキング的な使用や、ロッドアクションによる複雑かつ不規則なアクションにも汎用性を持つ。しかし、ウォブンロールタイプを謳っている製品の中には、ローリングタイプと代わり映えしないものもあるため、可能であるならば購入前にインターネット上の映像媒体などで予め動作を確認しておく事が推奨される。

ミノーの種類:浮力別

ミノーは動作別以外にも、浮力別でも種類分けされている。以下が主な3種である。

フローティングタイプ

水に浮かぶタイプ。高い浮力を持っているため、動きに機敏さがある。そのため、アクション性にも優れる傾向がある。使用の仕方によってはトップウォータープラグ的な使用も可能。

しかしその一方で、水面以外の水中では留まっていられず、ルアーが動き続けてしまうため、魚の活性が低い状況には不向きである。フローティングタイプの中には更に高い浮力を持ったハイフローティングタイプなどもある。

サスペンドタイプ

水中で静止するか、もしくは浮き沈みの速度が極めて低速なタイプ。高活性時から低活性時まで、様々な状況に対応する。魚の活性状態に対する汎用性は最も高い一方で、使用しているラインの素材や、水温や水中の塩分濃度等によってルアーの浮力が変化し、水中での静止度合いが変わってしまうなど、使用する状況等は選ぶ傾向がある。

シンキングタイプ

水に沈むタイプ。沈下スピードにもよるが、フローティングタイプ以上に静止する間もなく絶えず動き続けるため、魚の活性状態を選ぶ傾向がある。水に沈むが故に根がかりなどのトラブルに遭遇する可能性も最も高いが、最高潜行深度に達するための潜行過程がないため、広範囲をくまなく探る事が出来る。

ミノーの種類:潜行深度別

シャロ―ダイビングミノー

リップが短く、潜行深度が1.5m未満のオーソドックスなミノー。リップが短いため水の抵抗も少なく、アクション性に優れる。

ディープダイビングミノー

リップが比較的長く、平均潜行深度も2m~4m前後にもなる中層または深層用ミノー。リップが大きく、受ける水の抵抗も強くなるため、ショートビルタイプのミノーに比べるとアクション性に限界がある。

ミノーの種類:形状別

リップレスミノー

リップを持たないタイプのミノー。2000年に入る以前から存在していたが、2000年以降(特にシーバスフィッシングのブーム化以降)、更に多く見られるようになった。リップを持たないと言っても、一部の製品にはヘッドとリップを一体化させたに過ぎないものもある。

リップを持たない分、アクション性に優れるが潜行深度に限界がある。そのため、シンキングタイプのものも多い。

ショートビルミノー

短いリップを持つミノー。最もオーソドックスな形状のミノーで、シャロ―ダイビングミノーの別名でもある。リップが短い事によってアクション性に優れ、オーソドックスなタイプだけあって、種類も非常に多いタイプのミノーでもある。

ロングビルミノー

比較的長いリップを持つミノー。ディープダイビングミノーの別名でもある。リップが長いため、アクション性には限界がある。フローティングモデルからシンキングモデルのものまで各種作られているが、日本のバスフィッシング界ではサスペンドモデルが有名である。

ミノーを使用する上での基本的なテクニックやロッドアクションには以下のようなものがある。

ジャーキング

ミノーを使用する上で最も多用されるテクニックの一つ。ミノーに急激な加速を加え、バランスを崩させる事で不規則な動きを生み、魚の狩猟本能を刺激するような動きを与える。比較的広範囲の魚に対して有効である。

方法

ラインに張らず緩めず程度のテンションをかけ、その状態でリールを巻きながらロッドを45度から90度近く振る。リールを巻くスピードやロッドを振る角度を適度かつリズミカルに変えながら、連続して行うのがコツである。

トゥウィッチング

ミノーを使用する上で多用されるテクニックの一つ。小さく鋭い動きで魚の好奇心や狩猟本能などを刺激する。フローティングミノーと併用すれば、トップウォーター的な攻め方も可能である。

方法

ラインを張らず緩めずの状態にし、その状態でゆっくりとリールを巻きながらロッドを5度~30度近く振る。局所的なポイントで一回のみ行う事もあれば、連続して行う連続トゥウィッチなどもある。

ドリフト

近年話題になった事で多く使用されるようになったルアー操作法の一種。川や風の流れを利用して、ルアーに弧を描かせながら泳がせる方法である。弱った魚が流れに流される様などを再現し、魚を誘引する。または、流れを利用してキャスティングが難しいポイントへルアーを送り込み、魚のバイトを誘発する。

方法

川や風の流れの中へとルアーをキャストし、意図する方向へ弧を描くようにトレースする。この際、流れを突っ切るようにミノーを動かしたり完全に放置するのではなく、流れの影響でかろうじてルアーが動いているような状態を保ちながら、流れに乗せてくるくるのが一つのコツである。そのほか、流れに乗せながら、より積極的にルアーをアクションさせる方法もある。

トローリング

いわゆる船による流し釣りの事。目的の層に合った比較的大型のミノーを使い、ミノーが機能する速度で船を走らせる。海のターゲットに使われる事が多いが、湖のターゲットに対して行われる事もある。ミノーの場合は、潜行ビシといったルアーの潜行を補助するツールと併用して行われる事もある。

ストレートリトリーブ

ただ巻き、棒引きとも言う。名の通り、ただただ真っ直ぐ泳がせてくるリーリング法である。多少の緩急をつける場合もある。

ステディーリトリーブ

ストレートリトリーブとは異なり、完全に一定の速度を保ちながら行うリーリング法。ただ巻きの一種ではあるが、わずかなロッドのブレなどにも注意する必要があるため、難度が若干高い。

ファーストリトリーブ

1秒間にリールのハンドルを2回転以上させるような高速リーリング法。ミノーが素早くかつ非常に激しく動くため、狩猟本能を刺激する効果が高い。反射食いを誘発させる効果も高いが、設計上の関係などで対応しないミノーも少なくない。

ミディアムリトリーブ

1秒間にリールのハンドルを1回転程度させるような中速リーリング法。魚の居場所や活性状態をテンポよく探る際などに向いている。

スローリトリーブ

一秒間にリールのハンドルを半回転前後させるような低速リーリング法。魚が比較的低活性な状態などに向いている。

デッドスローリトリーブ

一秒間にリールのハンドルを4分の1回転前後させるような超低速のリーリング法。魚が非常に低活性である場合や、フローティングミノーを使ったトップウォーター的な釣りに向いている。

ストップ&ゴー

リーリングなどで一定距離ミノーを動かす毎にポーズ(一時停止)を入れるリトリーブ法。ポーズを入れるタイミングは好みや魚の活性状態などによる。ポーズの長さは、魚の活性状態が悪い時ほど長めにとるのが一般的である。

ほっとけメソッド

1990年代までは使われていたテクニック。いわゆる放置メソッドで、キャストした後、アクションを一切加えず放置して魚がバイトをするの待つ釣法。着水音と見た目のリアルさに頼った釣法であるため、一般的にフローティングモデルのリアル系ミノーが使用される。

お祓いメソッド

同じく1990頃に使われていたテクニック。水面に浮かんだミノーが独特なアクションを見せる、変則的なトゥウィッチングとも言えるルアーの操作法である。

方法

フローティングミノーを使い、任意の場所でポーズさせる。そしてラインを張った状態の立てたロッドを、おおぬさ(お祓い時に神主や巫女が降る棒状のもの)を振る要領で左右へと振る。ミノーが左右に振られながら勢いよく潜ったり浮いたりする様が特徴的なテクニックである。

ミノーは浮力別などで使い分ける事によって、一年を通して使用可能なルアーである。どの季節にどのタイプが適しているかは対象とする魚種によるが、魚の低活性時にはサスペンドモデル、高活性時には各モデルが適している傾向がある。

ミノーの汎用性は高く、釣り場やポイントを比較的選ばない傾向がある。

だが、ミノーは視覚的に魚を誘引する要素を多く持ったルアーである事から、どちらかと言うと水の透明度が高い釣り場に適していると言える。(水の透明度が低い釣り場でも、目立つカラーのものを使用すれば釣果を期待できる。)

また、製品のほとんどは深くても3m前後、トローリング用でも10m以内の潜行深度までしか持たないため、その範囲内に当たるポイント等で使用する必要がある。

ミノーは汎用性が高く、ほとんどのルアー対象魚に対して有効である。中でも特にフィッシュイーターと呼ばれる魚食性が強い魚に対して有効であると言われており、淡水・汽水・海水に関係なく、多くの魚に対して使われる。また、特定のサイズとカラーであれば一部の地域のマゴイに対しても有効であると言われている。

薦められるタックルは使用するミノーの大きさや重量などにもよるが、ロッドアクションを多用するようなミノーの場合は、適度な弾性と柔らかさを持ったロッドが好まれる事が多い。これは使用するミノーに対してロッドがあまりに硬すぎると、ロッドのしなり等がミノーの動きにあまり反映されず、ミノーの動きを悪くしてしまう傾向があるからである。

また、ミノーで多用されるジャーキングやトゥウィッチングといったアクションはロッドの反発を利用した方がリズミカルに行える事から、操作性の悪さからも硬いロッドは避けられる事が多い。

ミノーの基本的な使用方法としては、まず魚がいるであろう深さを攻める事ができる、潜行深度の合ったミノーを使用する事が大前提である。(透明度の高い水質である場合は、ミノーの潜行深度と魚のいる層がマッチしていなくても食いついてくる事もある)

その上で、魚の活性が一定以上高く、魚の狩猟本能を刺激するようなアクションで誘いたい場合は、ウォブリングタイプやウォブンロールタイプのミノーを使用して、リズミカルなジャーキングやトゥウィッチングで攻める。

魚の活性具合が不明瞭な場合や、魚が複雑なアクションを好まない場合、魚を探すために広範囲を探る必要がある場合などは、ローリングタイプのミノーを使って、ステディーリトリーブやストップ&ゴーなどで広く探る。

魚の活性が低く、スローに誘う必要がある場合は、サスペンドモデルのミノーを使用する。そしてトゥウィッチやストップ&ゴーなどで、アクション間にしっかりとポーズをとり、魚に食いつかせる間を与えながら巻いてくる事が大事である。